事業承継・M&A補助金の必要書類|枠別に準備するもの
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
読了目安: 3分
公募中 9件
この記事の結論
事業承継・M&A補助金には事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業再チャレンジ枠の4つの補助枠があり、16次公募ではそれぞれ別々の公募要領PDFが公開されています。さらに専門家活用枠は、通常版(買い手支援類型・売り手支援類型)、買い手支援類型の100億企業特例、小規模売り手支援類型の3つに要領が分かれています。
事業承継・M&A補助金の必要書類は「枠」で決まる
事業承継・M&A補助金には事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業再チャレンジ枠の4つの補助枠があり、16次公募ではそれぞれ別々の公募要領PDFが公開されています。さらに専門家活用枠は、通常版(買い手支援類型・売り手支援類型)、買い手支援類型の100億企業特例、小規模売り手支援類型の3つに要領が分かれています。つまり「事業承継・M&A補助金の必要書類一覧」という単一のリストは存在せず、自分がどの枠のどの類型で申請するかを先に決めないと、書類の準備は始められないという構造になっています。
もう一つ押さえておきたいのは、書類の準備が申請時で終わらないことです。この補助金は採択されてから交付申請、交付決定、補助事業の実施、実績報告、補助金額の確定、精算払請求、そして事業化状況報告と続きます。申請時に集める資料と、事業が終わってから提出する資料は別物で、後半で必要になる証拠書類(契約書・発注書・請求書・振込控えなど)は補助事業を実施している最中に集めておかないと後から作れません。
この記事の位置づけ
- 公募要領・交付規程・事務局のよくある質問で確認できた要件から逆算した準備リストです。
- 提出書類の正式名称・様式番号・提出部数は各枠の公募要領が正です。必ず最新版で照合してください。
- 16次公募要領はVer.1.0(2026年9月4日開示)です。更新される場合があります。
準備物を大きく分けると、次の4層になります。この層ごとに担当と着手時期を決めておくと、締切前の混乱がかなり減ります。
| 層 | 中身 | 入手先 | 着手の目安 |
| ①申請の土台 | GビズIDプライムアカウント | GビズID(電子申請の共通認証) | 公募開始の3週間以上前 |
| ②第三者の確認 | 認定経営革新等支援機関の確認書 | 顧問税理士・中小企業診断士など | 公募開始の2〜4週間前に依頼 |
| ③自社の資料 | 決算・申告関係、登記、株主構成、従業員数がわかる資料 | 自社・顧問税理士 | 公募開始前に棚卸し |
| ④事業の資料 | 事業計画、見積書、専門家との契約書・提案書 | 自社・取引先・専門家 | 公募期間の前半 |
申請の全体像から確認したい場合は事業承継・M&A補助金の申請の流れを、枠の選び方に迷っている場合は4つの枠の違いをあわせてご覧ください。
4枠に共通して必要になるもの
枠が違っても、次の3つはどの枠でも避けて通れません。この3つが揃っていない状態では、そもそも申請の入口に立てません。
1. GビズIDプライムアカウント
事業承継・M&A補助金の申請はJグランツによる電子申請のみで、Jグランツ以外の方法による申請は受け付けられません。Jグランツを使うにはGビズIDプライムアカウントが必要で、取得には1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります。公募が始まってから申請しても間に合わない可能性があるため、申請を検討し始めた時点で取得手続きに入るのが安全です。電子申請の手順はJグランツとGビズIDの手続きで詳しく整理しています。
2. 認定経営革新等支援機関の確認書
4枠いずれも、認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士等)による確認書の発行が必要です。枠によって確認する内容が異なり、事業承継促進枠と廃業再チャレンジ枠では事業承継や再チャレンジの蓋然性を、専門家活用枠とPMI推進枠では計画内容を確認します。16次公募要領には申請締切直前は確認依頼が間に合わない場合がある旨の注意書きがあり、依頼は早いほど有利です。取り方は認定支援機関の確認書の取り方にまとめています。
3. 補助対象者であることを示す自社の基礎資料
中小企業者等の定義は中小企業基本法第2条に準拠しており、業種別に資本金・従業員数の基準があります。加えてみなし大企業・みなし同一法人(親会社が議決権50%超を持つ子会社等)は対象外です。また、法人格そのものが対象外となるケースがあり、ここを取り違えると資格審査の段階で不採択になります。
| 区分 | 本補助金での扱い |
| 中小企業者等(中小企業基本法第2条の基準を満たす法人・個人事業主) | 対象 |
| みなし大企業・みなし同一法人(親会社が議決権50%超を保有する子会社等) | 対象外 |
| 社会福祉法人・医療法人・一般社団法人・一般財団法人 | 対象外 |
| 学校法人・農事組合法人・各種組合 | 対象外 |
| 法人格のない任意団体 | 対象外 |
申請書類の作成代行に関する注意
行政書士(行政書士法人を含む)以外の者が有償で申請書類の作成を代行することは行政書士法違反となる可能性があり、交付決定後に発覚した場合は交付決定取消しの対象になります。専門家に相談する場合も、書類作成の主体は申請者自身に置いてください。費用相場と線引きは申請代行の費用と注意点で解説しています。
事業承継促進枠で準備するもの
事業承継促進枠は、5年以内に親族内承継・従業員承継等を予定している中小企業者等が対象です。M&Aによる第三者承継はこの枠の対象外で、専門家活用枠の管轄になります。この枠の準備物は「要件を満たしていることを示せるか」に集約されます。要件そのものが多いため、逆算して資料を並べておきます。
| 要件 | 要件の内容 | 手元に用意しておく資料の例 |
| 決算・申告 | 公募申請時点で対象会社が3期分の決算・申告を完了していること(個人事業主は開業届提出から5年経過) | 直近3期分の決算関係書類、個人事業主は開業届 |
| 承継予定者の経験 | 役員として3年以上、または継続3年以上雇用され業務に従事、または役員と従業員の通算3年以上、または被承継者の親族で代表経験が無いこと | 登記事項証明書、雇用の期間がわかる資料 |
| 親族の範囲 | 六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族 | 続柄がわかる資料 |
| 承継の中身 | 経営権と所有権(株式・持分等)の両方が被承継者から承継者へ移ること | 株主名簿、現在の持分がわかる資料 |
| 承継の期限 | 事業承継対象期間(公募申請受付終了日から5年後まで。16次は2026年11月6日から2031年11月5日)に承継を完了する蓋然性 | 事業承継計画、認定支援機関の確認書 |
| 申請単位 | 原則、被承継者を補助対象者として申請。個人事業主は被承継者と承継予定者の共同申請が必須 | 共同申請者双方の基礎資料 |
ホールディングス承継(HD承継)を使う場合
承継予定者個人ではなく、承継予定者が所有する法人(HD会社)が株式を取得するスキームも、次の3要件をすべて満たせば対象になります。この場合、HD会社側の資料も必要になります。
- 被承継者がHD会社に出資していないこと
- 承継予定者がHD会社の株式を議決権ベースで3分の2超保有していること
- HD会社が申請者法人の株式を100%保有すること
賃上げ要件と生産性向上要件を使う場合
事業承継促進枠の補助上限は800万円ですが、賃上げ要件を達成する計画であれば1,000万円まで引き上げられます。賃上げ要件は、補助事業完了日を含む事業年度(基準年度)から翌年度にかけて従業員1人当たり給与支給総額の上昇率3%以上を達成し、公募申請時までに全従業員・役員へ表明していることです。表明の事実が申請時点で必要なので、社内の表明手続きは公募期間中に済ませておく必要があります。また5年間の計画で付加価値額または1人当たり付加価値額の伸び率が年3%向上する計画であることも求められます(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)。
| 区分 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
| 通常(小規模事業者等以外) | 補助対象経費の1/2以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 小規模事業者等 | 補助対象経費の2/3以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 廃業・再チャレンジ枠との併用 | 事業費の補助率に従う | — | +300万円 |
800万円超から1,000万円までの部分は補助率が一律1/2以内になります。小規模事業者等の定義は、製造業その他が従業員20人以下、商業(卸売・小売)およびサービス業が5人以下、宿泊業・娯楽業が20人以下です。
専門家活用枠で準備するもの(見積が最大の関門)
専門家活用枠は、M&Aで経営資源を譲り受ける買い手、譲り渡す売り手が使う枠です。ここは書類そのものよりも誰に頼み、どういう順番で見積を取ったかが補助対象になるかどうかを左右します。
登録M&A支援機関であることの確認
委託費のうちFA業務・仲介業務に係る相談料・着手金・中間報酬・成功報酬等は、M&A支援機関登録制度に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限り補助対象経費になります。未登録業者への支払いは全額対象外です。さらに、相見積りの相手方も登録FA・仲介業者である必要があり、相見積りで最低価格を提示していない業者を選んだ場合は補助対象外とされています(16次公募 専門家活用枠 よくある質問)。つまり見積は「取れば良い」のではなく、登録業者どうしで比較し、最低価格の業者を選ぶところまでが要件です。登録の有無は登録M&A支援機関とはで解説している検索方法で必ず事前に確認してください。
契約と報酬発生のタイミング
中間報酬の根拠となる基本合意書の締結、成功報酬の根拠となる最終契約の締結は、いずれも補助事業期間内に、かつ専門家との契約締結の後に行われている必要があります。専門家契約より前に基本合意や最終契約を結んでいた場合は原則として対象外で、覚書等で契約日を期間内に後ろ倒しする行為も原則認められません。詳しくは交付決定前の契約の扱いで整理しています。
| 類型 | 対象 | 補助率 | 補助下限 | 補助上限 |
| 買い手支援類型(Ⅰ型・通常) | 経営資源を譲り受ける予定の中小企業等 | 2/3以内 | 50万円 | 600万円(DD費用上乗せ+200万円で計800万円) |
| 売り手支援類型(Ⅱ型・通常) | 経営資源を譲り渡す予定の中小企業等 | 1/2または2/3以内 | 50万円 | 600万円(DD費用上乗せ+200万円で計800万円) |
| 買い手支援類型(100億企業特例) | 将来売上高100億円を目指す買い手 | 1,000万円以下は1/2、1,000万円超〜2,000万円は1/3 | 50万円 | 2,000万円 |
| 小規模売り手支援類型 | 小規模事業者等に該当する売り手 | 2/3以内 | 下限なし | 450万円 |
売り手支援類型の補助率が2/3になるのは、①物価高等の影響で営業利益率が直近事業年度またはその前年同時期比で低下している、②直近決算期の営業利益または経常利益が赤字、のいずれかに該当する場合です。どちらも該当しなければ1/2以内になるため、該当を主張するなら数字で示せる決算資料が必要になります。
類型の重複申請はできない
専門家活用枠の3種(通常版・100億企業特例・小規模売り手支援類型)は同一公募回での重複申請ができません。また100億企業特例で不採択となっても通常の買い手支援類型(800万円枠)に自動で移行されず、再申請が必要です。どの要領で準備するかを最初に決めてください。
対象経費は謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料(表明保証保険)で、廃業費を併用する場合は廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リース解約費・土壌汚染調査費・移転移設費が加わります。表明保証保険は買い手支援類型では買い手が手配した保険料、売り手支援類型では売り手が手配した保険料が対象で、同一案件で買い手・売り手が重複して加入することはできません。個別の扱いは表明保証保険の扱いとデューデリジェンス費用の扱いで解説しています。
PMI推進枠で準備するもの
PMI推進枠は、M&Aの後の統合作業(PMI)を支援する枠です。PMI専門家活用類型と事業統合投資類型の2類型があり、それぞれ公募要領が分かれています。
| 類型 | 対象 | 補助率 | 補助下限 | 補助上限 | 廃業費併用 |
| PMI専門家活用類型 | PMI計画の策定・実行に係る専門家活用費用 | 1/2以内 | 50万円 | 150万円 | +300万円(単独申請のみ) |
| 事業統合投資類型 | 製造ラインやIT・会計システムの統合等、経営統合効果を高める設備投資 | 1/2以内(小規模事業者等は2/3以内) | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) | +300万円 |
準備の観点で重要なのは、対象となるM&Aの条件と時期の条件です。まず対象M&Aは、被承継者と承継者の間で事業再編・事業統合が実施済または実施予定であることが前提で、グループ内の事業再編、物品・不動産等のみの売買、親族間の事業承継、同族関係者間・支配関係のある法人間の取引は対象外です。事業譲渡の場合は設備・従業員・顧客等の有機的一体の経営資源の引継ぎが必要で、不動産業以外でも原則として常時使用する従業員1名以上の引継ぎが求められます。
時期については、単独申請の場合は公募申請時点でM&Aのクロージング日から3年以内の取組であることが要件です。専門家活用枠と同一回で同時申請する場合は、交付申請時点で対象M&Aが最終契約済みであることが要件となり、専門家活用枠側のM&Aがクロージングしなかった場合はPMI推進枠側も補助対象外になります。したがって、クロージング日を証明できる契約書類は必ず手元に整理しておきます。
PMI専門家の要件
PMI専門家として認められるのは、金融機関(関連会社を含む)または弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士・経営コンサルタント等です。なお不正が発覚した場合は所属先名称に加えて専門家個人名も公表されます。
事業統合投資類型で計上できない費用
事業統合投資類型では、委託費のうちM&A仲介手数料・DD費用・M&Aコンサルティング費用・PMI専門家への手数料は対象外です。これらはPMI専門家活用類型または専門家活用枠側で申請する費用です。見積を集める段階で費目の切り分けを誤ると、実績報告で減額されます。
なお、専門家活用枠の買い手支援類型(Ⅰ型)とPMI推進枠のPMI専門家活用類型は同一公募回での同時申請が可能で、補助上限が別立てで積み上がります。買い手として申請する場合は、この組み合わせを前提に見積を分けておくと無駄がありません。
廃業・再チャレンジ枠で準備するもの
廃業・再チャレンジ枠には2つの申請形態があり、必要になる準備物が大きく違います。
| 申請形態 | どんな場合 | 補助率 | 補助下限 | 補助上限 |
| 再チャレンジ申請(単独申請) | M&Aで事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主・個人事業主が、新たなチャレンジのため既存事業を廃業する場合 | 補助対象経費の2/3以内 | 50万円 | 300万円 |
| 併用申請 | 事業承継促進枠/専門家活用枠/PMI推進枠と同時に申請し、承継・M&A・PMIに伴い既存事業や譲り受けた事業の一部を廃業する場合 | 他補助事業枠の補助率に従う | 50万円 | 300万円 |
併用申請の場合は廃業・再チャレンジ枠への別申請は不要で、該当する主枠への上乗せとして処理されます。一方、単独の再チャレンジ申請では次の準備が追加で必要です。
- 共同申請:廃業する対象会社と、議決権の過半数を有する支配株主または株主代表による共同申請が必要です。
- 再チャレンジ事業計画:廃業後に何をするのかを示す事業計画を作成し、認定支援機関の確認を受けている必要があります。
- M&Aで譲り渡せなかった経緯:この枠は「M&Aで事業を譲り渡せなかった」ことが前提の枠です。経緯を説明できる資料を整理しておきます。
補助下限には注意が必要です。単独申請では補助対象経費が75万円未満の申請は受け付けられません(2/3を掛けて下限50万円を下回るため)。また廃業費用のみで300万円を申請することはできず、事業費側の申請とセットになることが前提です。実質同一株主による複数申請で内容が実質同一の場合、合計補助額は300万円が上限になります。
対象経費と、対象外になりやすいもの
| 対象経費 | 内容 | 注意点 |
| 廃業支援費 | 司法書士への登記申請手続き経費 | — |
| 在庫廃棄費 | 商品在庫の処分費 | 売却して対価を得る場合は対象外 |
| 解体費・原状回復費 | 建物解体、賃借物件の原状回復 | — |
| リースの解約費 | リース契約の解約に伴う費用 | ファイナンスリースの解約金・違約金は対象外 |
| 土壌汚染調査費 | 調査に係る費用 | — |
| 移転・移設費 | 設備等の移転・移設 | — |
廃業費の範囲は廃業費用と補助金でさらに詳しく解説しています。
加点を狙う場合に手元に置いておく資料
審査は資格審査と書面審査の2段階で行われ、書面審査は外部有識者で構成される審査委員会が担当します。書面審査の着眼点は【取組の目的・必要性】【取組の実現可能性】【取組の収益性】【取組の継続性】の4つです。これに加えて加点事由があり、加点を主張するならその事実が確認できる資料が手元にある状態にしておく必要があります。
| 加点事由 | 対象の枠 |
| 中小企業の会計に関する基本要領/指針の適用 | 各枠 |
| 経営力向上計画の認定・経営革新計画の承認・先端設備等導入計画の認定 | 各枠 |
| 地域未来牽引企業 | 各枠 |
| 健康経営優良法人 | 各枠 |
| サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用 | 各枠 |
| (連携)事業継続力強化計画の認定 | 各枠 |
| ワーク・ライフ・バランス推進(えるぼし認定・くるみん認定等) | 各枠 |
| 賃上げ表明 | 事業承継促進枠・PMI事業統合投資類型は3%以上で上限引き上げと連動、それ以外の枠は2%以上が加点事由 |
| 地域おこし協力隊 | 事業承継促進枠のみ |
| アトツギ甲子園出場者(代表者予定者を含む) | 事業承継促進枠のみ |
| 成長加速マッチングサービス会員登録+挑戦課題登録 | 事業承継促進枠のみ |
| 事業承継・引継ぎ支援センターまたは中小機構地域本部の支援を受けた事業承継計画書の策定 | 事業承継促進枠のみ |
| 米国の追加関税措置により大きな影響を受けていること | 事業承継促進枠のみ(16次で新規追加) |
| 小規模事業者等に該当すること | 専門家活用枠 |
| DD(デューデリジェンス)の実施 | PMI推進枠 |
加点は「取ったら終わり」ではない
加点事由を申請して交付決定を受けたのに、賃上げ等の要件が事業化状況報告の時点で未達だった場合、未達の報告から18か月間、中小企業庁が所管する他の補助金申請で正当な理由なく大幅減点されます。対象にはものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金、事業承継・M&A補助金、Go-Tech事業、事業再構築補助金、新事業進出補助金、中小企業省力化投資補助事業等が含まれます。達成できる水準で表明することが結果的に得です。
審査の観点をさらに詳しく知りたい場合は加点と審査の考え方、計画書の書き方は事業計画書の書き方をご覧ください。
採択後に必要になる書類(ここを甘く見ると入金されない)
この補助金は精算払い(実費弁済方式)です。採択されただけでは1円も入金されません。採択の後に交付申請、交付決定、補助事業の実施、実績報告、補助金額の確定、精算払請求という順序があり、それぞれで書類が発生します。
| 段階 | 提出するもの | 期限・ポイント |
| 交付申請 | 交付申請の書類一式 | 採択は「交付申請する権利の保障」であり交付決定ではない |
| 交付決定 | 交付決定通知書を受領 | 交付決定前に着手した経費は補助対象外 |
| 補助事業の実施 | 契約書・発注書・納品書・請求書・振込控え等を保管 | 原則、交付決定日以降の契約・発注・支払いのみが対象 |
| 実績報告 | 実績報告書(様式第6) | 補助事業完了日から30日経過した日、または交付決定通知書記載の補助事業完了期限日から10日経過した日のいずれか早い方まで |
| 額の確定 | 事務局の書類審査・現地調査等 | 見積より安く済んだ場合は実費分のみ。超過交付があれば返還命令、未納は年利10.95%の延滞金 |
| 精算払請求 | 精算払請求書(様式第7) | 提出後に補助金が支払われる |
| 事業化状況報告 | 事業化状況報告(様式第12) | 毎事業年度終了後90日以内。証拠書類は報告年度終了後5年間保存 |
実務で最も事故が起きやすいのは、補助事業の実施中に証拠書類を集めていないケースです。実績報告の段階になって発注書が存在しない、支払いの記録が現金でしか残っていない、といった状態は後から取り返せません。手順の全体は実績報告と精算の手順、報告義務の中身は事業化状況報告で詳しく解説しています。
また、補助金で取得した財産には処分制限があり、計画を変更する場合には手続きが必要です。財産処分の制限と計画変更の手続きもあわせて確認してください。
書類を揃えても対象外になる経費
書類が揃っているかどうかとは別に、そもそも補助対象にならない経費があります。準備段階でここを外しておかないと、実績報告で減額されます。
| 対象外になるもの | 根拠・範囲 |
| 事業承継に際して被承継者に支払う譲受費用(土地・資産購入費用等) | 事業承継促進枠 |
| 売上原価に相当する経費 | 全枠共通 |
| 商品在庫等を売却して対価を得る場合の処分費 | 廃業費全般 |
| ファイナンスリース取引の解約金・違約金、リース資産の売買費用 | 廃業費全般 |
| 国(独立行政法人を含む)の他の補助金・助成金と同一・類似内容で重複する事業 | 全枠共通。交付決定後に判明した場合は取消しの対象 |
| 公的医療保険・介護保険の診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等と重複する事業 | 全枠共通 |
| M&A支援機関登録制度に未登録の業者へのFA・仲介費用 | 専門家活用枠 |
| M&A仲介手数料・DD費用・M&Aコンサルティング費用・PMI専門家への手数料 | PMI推進枠 事業統合投資類型 |
| 交付決定前に発注・契約・支払いを行った経費 | 全枠共通 |
枠ごとの対象経費の全体像は対象経費と対象外経費にまとめています。FA・仲介手数料の扱いはM&A仲介手数料と補助金を参照してください。
16次公募の日程から逆算した準備スケジュール
16次公募の日程は事務局サイトで公開されています。いずれも「予定」であり変更されうるため、最終確認は公式サイトで行ってください。
| 項目 | 時期 |
| 公募要領開示・サイト開設 | 2026年9月4日(金) |
| 説明会申込受付 | 2026年9月9日(水)〜10月7日(水)17:00 |
| 説明会(オンライン) | 2026年10月9日(金)14:00〜 |
| 公募申請受付期間 | 2026年10月2日(金)〜2026年11月6日(金)17:00 |
| 採択日 | 2026年12月下旬以降 順次(予定) |
| 交付申請受付期間 | 2027年1月上旬〜2027年11月中旬(予定) |
| 交付決定日 | 2027年1月下旬以降 順次(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2028年3月中旬(予定) |
| 実績報告期間 | 2027年6月上旬〜2028年3月下旬(予定) |
| 補助金交付手続き | 2027年10月上旬以降 順次(予定) |
逆算の目安
- いますぐ:GビズIDプライムの取得手続き。取得に1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります。
- 9月中:申請する枠と類型の決定、認定支援機関への確認書依頼、決算・登記・株主名簿の棚卸し。
- 10月上旬:説明会(10月9日)で最新の運用を確認。専門家活用枠は登録M&A支援機関からの相見積り取得。
- 10月中旬〜下旬:事業計画の作成と認定支援機関との内容すり合わせ、賃上げの社内表明。
- 11月6日17:00:申請締切。システム混雑を避けるため数日前の提出を推奨します。
16次公募の日程の詳細は16次公募のスケジュールにまとめています。制度全体を最初から確認する場合は事業承継・M&A補助金 完全ガイドをご覧ください。
準備で迷ったときの相談先
全国47都道府県には国が設置した事業承継・引継ぎ支援センターがあり(東京都のみ本部と多摩地域の2拠点で計48拠点)、親族内承継も第三者承継(M&A)も相談できます。事業承継促進枠では、同センターまたは中小機構地域本部の支援を受けた事業承継計画書の策定が加点事由にもなっています。使い方は事業承継・引継ぎ支援センターの使い方を参照してください。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。16次公募要領はVer.1.0(2026年9月4日開示)に基づいています。制度内容・日程・様式は変更される場合があります。提出書類の正式名称・様式番号・部数は必ず各枠の公募要領で最新情報を確認してください。本記事は採択や補助額を保証するものではありません。