飲食店の事業承継・M&A補助金2026|店舗承継の枠と対象経費
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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この記事の結論
飲食店は家族経営や個人事業が多く、承継の話が「店を閉めるか、誰かに渡すか」の二択で持ち上がりがちです。常連客、仕入先との関係、レシピ、スタッフ。
飲食店の事業承継で、この補助金は何に使えるのか
飲食店は家族経営や個人事業が多く、承継の話が「店を閉めるか、誰かに渡すか」の二択で持ち上がりがちです。常連客、仕入先との関係、レシピ、スタッフ。どれも決算書に表れにくい資産で、だからこそ引き継ぎ方の設計が難しい業種です。事業承継・M&A補助金は、この引き継ぎにかかる費用と、承継を機に行う投資を支える制度です。
この補助金は飲食店専用の制度ではありません。全業種共通で、公募要領に飲食業向けの特例はありません。したがって確認する順番は、自社が中小企業者等に該当するか、承継のかたちがどの枠に当てはまるか、その枠で何が対象経費になるか、の3段階になります。
この記事の前提
- 数値・日程は16次公募要領(Ver.1.0・2026年9月4日開示)と事務局サイトの事業スケジュール欄によります。事務局が「予定」と注記している項目があります。
- 2026年9月11日時点で16次公募の申請受付は開始前です。受付開始は2026年10月2日(金)です。
- 飲食店営業許可・食品衛生責任者などの許認可の取扱いは本補助金の公募要領に規定がありません。本記事では論点の所在を示すにとどめ、可否は保健所等の許可権者に確認をお願いする形にしています。
もう一つ、飲食店で特に誤解が多いのが対象経費の範囲です。食材の仕入れは補助対象になりません。売上原価に相当する経費は全枠共通で対象外と定められています。補助金が効くのは、承継そのものにかかる専門家費用と、承継を機に行う設備・システムへの投資です。この線引きを最初に飲み込んでおくと、計画が作りやすくなります。
個人事業の店でも使えるか。対象者の判定
本補助金の対象は中小企業者等です。定義は中小企業基本法第2条に準拠し、業種別に資本金・従業員数の基準が定められています。個人事業主も対象になります。株式会社・有限会社・合同会社で営む飲食店も同様です。一方、親会社が議決権の50%超を持つ子会社等のみなし大企業・みなし同一法人は対象外で、一般社団法人・一般財団法人・学校法人・組合等の法人格や、法人格のない任意団体も対象になりません。
次に小規模事業者等に該当するかを見ます。該当すると事業承継促進枠の補助率が1/2から2/3に上がり、専門家活用枠では小規模事業者等であること自体が加点事由になります。さらに売り手側なら、小規模売り手支援類型という独立した申請ルートが開きます。判定は業種別の従業員数です。
| 区分 | 従業員数の基準 | 飲食店での考え方 |
| 商業(卸売業・小売業) | 従業員5人以下 | テイクアウト・物販が主体の店舗は、事業の実態によりこの区分で判断される場合があります |
| サービス業 | 従業員5人以下 | 飲食店は一般にこの区分として扱われます。常時使用する従業員数で判断します |
| 製造業その他 | 従業員20人以下 | 自家製麺・製菓製造など製造部門が主体の場合は実態に応じて判断されます |
| 宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 | 宿泊施設内の飲食部門など、事業全体が宿泊業に属する場合です |
どの区分になるか迷う場合は、認定経営革新等支援機関に相談し、必要に応じて事務局に確認してください。補助率が1/2か2/3かで自己負担は大きく変わります。枠ごとの数字の全体像は補助率と上限額の記事にまとめています。
個人事業の店には固有の要件があります
事業承継促進枠を個人事業主が使う場合、被承継者と承継予定者の共同申請が必須です。また、法人は同一法人内での代表者交代が対象であるのに対し、個人事業主は事業譲渡(廃業と開業)が対象という整理になります。加えて、法人は公募申請時点で3期分の決算・申告を完了していること、個人事業主は開業届の提出から5年が経過していることが要件です。開業直後の事業譲渡は、正当性が確認できない場合に対象外と判断されることがあります。
店の渡し方で枠が決まる。飲食店での枠の選び方
枠の選択が最初の分岐です。ここを誤ると、計画を書き上げても資格審査で不適合になります。飲食店でよくある承継のかたちを当てはめます。
| 飲食店でよくある承継のかたち | 使う枠 | 主な要件 |
| 店主の子が店を継ぎ、代表と株式(または事業)を引き継ぐ | 事業承継促進枠 | 承継予定者は被承継者の親族(六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族)で、対象会社の代表経験が無いこと |
| 長年働いた社員・料理長が引き継ぐ | 事業承継促進枠 | 役員として3年以上、または継続3年以上雇用され業務に従事した経験。通算3年以上でも可 |
| 他社の飲食店・複数店舗を譲り受ける(買い手) | 専門家活用枠 買い手支援類型 | 補助率2/3以内・上限600万円、DD費用の上乗せで合計800万円まで |
| 後継者がおらず第三者に店・会社を譲る(売り手) | 専門家活用枠 売り手支援類型 | 補助率1/2または2/3以内・上限600万円、DD費用の上乗せで合計800万円まで |
| 小規模な個人店・小さな法人が第三者に譲る | 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 | 補助率2/3以内・補助下限額なし・上限450万円。通常の売り手支援類型との同時申請は不可 |
| 譲り受けた店のPOS・予約・会計システムを自社に統合する | PMI推進枠 事業統合投資類型 | 公募申請時点でM&Aのクロージング日から3年以内の取組であること(単独申請の場合) |
| 統合計画づくりを専門家に依頼する | PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 補助率1/2以内・下限50万円・上限150万円 |
| 譲渡先が見つからず閉店して再挑戦する | 廃業・再チャレンジ枠(単独申請) | M&Aで事業を譲り渡せなかったことが要件。対象会社と支配株主等の共同申請が必要 |
| 承継・M&Aに伴い不採算の1店舗だけ閉める | 廃業・再チャレンジ枠(併用申請) | 主となる枠への上乗せ。別申請は不要 |
事業承継促進枠はM&Aによる第三者承継を対象としていません
「店を第三者に譲る」のは事業承継促進枠ではなく専門家活用枠です。事業承継促進枠の対象は親族内承継・従業員承継等(事業再生を伴うものを含む)で、法人は同一法人内での代表者交代、個人事業主は事業譲渡が対象です。名称から取り違える例が多い箇所なので、申請前に確認してください。
併用については、廃業・再チャレンジ枠が事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠のいずれとも併用できます。専門家活用枠の買い手支援類型とPMI推進枠のPMI専門家活用類型は同一公募回で同時申請が可能です。一方、事業承継促進枠と専門家活用枠・PMI推進枠を同一公募回で申請することはできません。枠の違いは4つの枠の違いで詳しく扱っています。
飲食店が使う枠ごとの補助率・上限額
飲食店では、設備投資を伴う承継なら事業承継促進枠、店舗や会社の譲渡・譲受なら専門家活用枠が中心です。小さな店の売り手側には、下限額のない小規模売り手支援類型という選択肢があります。
事業承継促進枠(親族内承継・従業員承継)
| 区分 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
| 通常(小規模事業者等以外) | 補助対象経費の1/2以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 小規模事業者等 | 補助対象経費の2/3以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 廃業・再チャレンジ枠との併用 | 事業費の補助率に従う | ー | +300万円 |
補助下限額が100万円である点に注意してください。補助率2/3なら補助対象経費150万円分、1/2なら200万円分の投資が必要になる計算です。厨房機器の入れ替え程度では下限に届かないこともあります。
上限を1,000万円に引き上げる賃上げ要件は、補助事業完了日を含む事業年度(基準年度)から翌年度にかけて従業員1人当たり給与支給総額の上昇率3%以上を達成し、公募申請時までに全従業員・役員へ表明していることです。未達成の場合は引き上げ額(最大200万円)の返還を求められます。対象者の範囲には細かい定義があり、パート・アルバイト等の非正規雇用者は含まれる一方、役員・同居親族従業員・30日未満の解雇予告で足りる者は除かれるとされています。パート比率の高い飲食店では、要領の定義を確認したうえで判断してください。
専門家活用枠(第三者へのM&A)
| 類型 | 補助率 | 下限額 | 上限額 | DD費用上乗せ | 廃業費併用 |
| 買い手支援類型(通常) | 2/3以内 | 50万円 | 600万円 | +200万円(合計800万円) | +300万円 |
| 売り手支援類型(通常) | 1/2または2/3以内 | 50万円 | 600万円 | +200万円(合計800万円) | +300万円 |
| 買い手支援類型(100億企業特例) | 1,000万円以下は1/2、1,000万円超〜2,000万円は1/3 | 50万円 | 2,000万円 | ー | +300万円 |
| 小規模売り手支援類型 | 2/3以内 | なし | 450万円 | ー | +150万円 |
売り手支援類型の補助率が2/3になるのは、①物価高等の影響で営業利益率が直近事業年度またはその前年同時期比で低下している、②直近決算期の営業利益または経常利益が赤字、のいずれかに該当する場合です。食材費・人件費・光熱費の上昇で利益率が落ちている店は、この分岐を確認する価値があります。
もう一点、専門家活用枠にはクロージングしなかった場合の縮小規定があります。補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合、上限額は通常版で300万円、小規模売り手支援類型で50万円に縮小され、原則としてDD費用のみが補助対象経費になります。譲渡先が決まりきらないまま申請する場合は、この前提を織り込んでおいてください。
飲食店での対象経費の当てはめと、対象外になるもの
承継の場面で飲食店に発生しがちな支出を、枠と費目に当てはめます。金額は見積り次第なので、ここでは当てはめだけを示します。
| 飲食店でよくある支出 | 使う枠 | 対象経費としての位置づけ |
| 承継を機に更新する厨房設備・空調 | 事業承継促進枠 | 設備投資として計上。交付決定日以降の契約・発注・支払いに限られます |
| POS・予約管理・モバイルオーダーの導入 | 事業承継促進枠/PMI推進枠 事業統合投資類型 | 承継を機に新規導入するか、譲り受けた店と統合するかで枠が分かれます |
| 客席レイアウトの変更を伴う改装 | 事業承継促進枠 | 承継後の収益改善につながることを事業計画で説明します |
| 譲渡先・譲受先を探す仲介・FAへの報酬 | 専門家活用枠 | 委託費。M&A支援機関登録制度に登録された業者への支払いのみが対象です |
| デュー・ディリジェンス(DD)費用 | 専門家活用枠 | 買い手支援類型はDD実施が実質的に必須とされ、上乗せで合計800万円まで |
| 表明保証保険の保険料 | 専門家活用枠 | 保険料として対象。同一案件で買い手・売り手が重複加入することはできません |
| 閉店時の内装原状回復・厨房解体 | 廃業・再チャレンジ枠 | 原状回復費・解体費として対象。移転・移設費も費目にあります |
| 閉店時の在庫処分 | 廃業・再チャレンジ枠 | 在庫廃棄費。ただし売却して対価を得る場合は対象外です |
対象外になるもの
| 対象外になるもの | 根拠・注意点 |
| 食材・酒類などの仕入れ | 売上原価に相当する経費は全枠共通で対象外です |
| 被承継者に支払う譲受費用(土地・資産購入費用等) | 事業承継促進枠では対象外。現店主から店舗不動産や什器を買い取る費用は計上できません |
| 交付決定日より前の契約・発注・支払い | 原則、交付決定日以降の契約・発注かつ支払い完了分のみが対象です |
| 在庫を売却して対価を得る場合の処分費 | 廃業費全般で対象外。什器や酒類を売却するなら、その処分費は計上できません |
| ファイナンスリースの解約金・違約金 | 廃業費全般で対象外。厨房機器・製氷機等のリース契約は要確認です |
| 登録M&A支援機関以外への仲介・FA費用 | 未登録業者への支払いは全額対象外。相見積りで最低価格を提示していない業者を選んだ場合も対象外です |
| 事業統合投資類型でのM&A仲介手数料・DD費用・PMI専門家手数料 | PMI推進枠 事業統合投資類型では対象外。専門家活用枠またはPMI専門家活用類型で申請します |
| 国の他の補助金・助成金と同一・類似内容で重複する事業 | 交付決定後に判明した場合は取消しの対象になります |
対象経費の考え方は対象経費の記事、仲介手数料の扱いはFA・仲介手数料の記事、閉店費用は廃業費用の記事で扱っています。
飲食店営業許可・物件の契約は補助金の審査対象ではない
飲食店の承継で先に気になるのは、許可と店舗の賃貸借契約でしょう。ここは補助金と切り分けて考えてください。本補助金の公募要領には、飲食店営業許可・食品衛生責任者・深夜における酒類提供に関する届出などの規定は一切ありません。事務局はこれらを審査しません。
| 論点 | 誰が判断するか | 補助金との関係 |
| 飲食店営業許可を承継後にどう扱うか | 保健所等の許可権者 | 要領に規定なし。事務局の審査対象外です |
| 食品衛生責任者を誰が務めるか | 保健所等の許可権者 | 要領に規定なし。ただし営業継続の体制として計画には書けます |
| 店舗の賃貸借契約を承継できるか | 貸主との合意。契約内容によります | 要領に規定なし。実現可能性を説明する前提条件になります |
| 酒類の提供に関する届出・免許 | 所管の行政機関 | 要領に規定なし |
| 承継予定者の実務経験年数(役員3年以上等) | 事務局(認定経営革新等支援機関の確認を経る) | 事業承継促進枠の要件そのものです |
許認可の可否は許可権者に確認してください
飲食店営業許可の承継の可否や必要な手続きは、本記事の情報源である公募要領の範囲外です。所在地の保健所や専門家に必ず確認してください。本記事では論点の所在を示すにとどめています。
実務では、許可と物件の見通しを先に立て、そのうえで補助金の枠と事業計画を組むのが安全です。営業を止めずに引き継げるのか、いったん閉めて再開するのか。この違いは、審査の着眼点である「取組の実現可能性」の説明にそのまま効いてきます。
常連客とレシピを、審査の言葉に翻訳する
書面審査は外部有識者で構成される審査委員会が行い、着眼点は【取組の目的・必要性】【取組の実現可能性】【取組の収益性】【取組の継続性】の4つです。飲食店の強みは数字に出にくいため、この4つに対して具体的な事実で答えることが要になります。
| 審査の着眼点 | 飲食店の計画で書くこと |
| 取組の目的・必要性 | なぜ今の承継なのか。店主の年齢、体力、後継者の意思、物件契約の期限など、具体的な事情を書きます |
| 取組の実現可能性 | 承継予定者の勤務年数と担当(調理・仕入・シフト管理など)、許可と物件の見通し、資金計画を書きます |
| 取組の収益性 | 承継を機に行う投資が、客席回転・客単価・原価率・人時売上のどこにどう効くのかを書きます。POS導入なら仕入の見直しに、改装なら席数と回転に、という筋道です |
| 取組の継続性 | レシピと仕込み手順の引継ぎ方法、スタッフの残留、仕入先との関係、常連客への告知計画を書きます |
事業承継促進枠では、これに加えて生産性向上要件があります。補助事業期間を含む5年間の計画で、付加価値額または1人当たり付加価値額の伸び率が年3%向上する計画であることです。付加価値額は営業利益と人件費と減価償却費の合計で定義されます。単価を上げるのか、席数を増やすのか、業態を一部変えるのか。飲食店ではこの選択を言葉にしておく必要があります。
承継の要件面では、経営権と所有権(株式・持分等)の両方が被承継者から承継者へ譲渡されることが必要です。看板だけ子に譲り、資産と借入は親が持ち続けるような形は、実質的な事業承継と認められない例に該当し得ます。事業承継対象期間は公募申請受付終了日から5年後までで、16次公募なら2026年11月6日から2031年11月5日までに承継を完了する蓋然性が高いことを、認定経営革新等支援機関が確認します。
加点事由には、経営力向上計画の認定、経営革新計画の承認、先端設備等導入計画の認定、(連携)事業継続力強化計画の認定、健康経営優良法人、サイバーセキュリティお助け隊サービス利用、ワーク・ライフ・バランス推進(えるぼし認定・くるみん認定等)、賃上げ表明、アトツギ甲子園出場者(事業承継促進枠のみ)などがあります。専門家活用枠では、小規模事業者等に該当すること自体が加点事由です。詳しくは加点と審査の記事と事業計画書の書き方を参照してください。
飲食店の申請でつまずきやすい点
要領とFAQから、飲食店の承継で問題になりやすい箇所を抜き出します。
| つまずきやすい点 | 要領上の扱い |
| のれん分けで従業員を独立させる | 従業員等へののれん分け(またはそれに準ずるもの)は、実質的な事業承継とみなされない例として明記されています |
| フランチャイズ加盟店の店舗を引き継ぐ | フランチャイズ契約またはそれに準ずるものは、実質的な事業承継とみなされない例に挙げられています |
| 什器・厨房機器だけを譲り渡す | 物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買を含む)は対象外の例です |
| 代表だけ交代し、株式は先代が持ち続ける | 経営権と所有権のいずれの移転も伴わない代表者交代のみは対象外の例です |
| 休業状態の店で代表者を交代した | 休眠会社・事業実態が無い状態での代表者交代は対象外の例に挙げられています |
| 採択の連絡ですぐ厨房機器を発注した | 採択は交付申請する権利の保障であって交付決定ではありません。交付決定前に着手した経費は対象外です |
| 付き合いのある仲介会社が登録M&A支援機関でなかった | 登録された業者への支払いのみが委託費の対象です |
| 相見積りを取ったが最低価格の業者を選ばなかった | 相見積りで最低価格を提示していない業者を選んだ場合は補助対象外とされています(16次公募 専門家活用枠FAQ) |
| 基本合意を結んだ後に専門家と契約した | 中間報酬・成功報酬は、基本合意書締結や最終契約締結が補助事業期間内かつ専門家契約締結後である必要があります |
| 締切直前に認定支援機関へ確認書を依頼した | 締切直前は確認依頼が間に合わない場合があると要領が注意喚起しています |
採択率は、現ブランドの確定値で11次60.8%、12次61.0%、13次60.9%、14次60.7%と、4回連続して約6割です(出典:shoukei-mahojokin.go.jp)。裏を返せば4割は不採択で、事務局は不採択理由の個別問い合わせに応じません。要件の取り違えを自力で潰しておく必要があります。よくある不備は不採択理由の記事にまとめています。
16次公募の日程と、いま飲食店がやること
16次公募のスケジュールは事務局サイトの事業スケジュール欄に掲載されています。2026年9月11日時点では要領のみが先行開示された状態です。
| 項目 | 時期 |
| 公募要領開示・サイト開設 | 2026年9月4日(金) |
| 説明会申込受付 | 2026年9月9日(水)〜10月7日(水) 17:00まで |
| 説明会 | 2026年10月9日(金) 14:00〜(オンライン、Microsoft Teamsタウンホール形式) |
| 公募申請受付期間 | 2026年10月2日(金)〜2026年11月6日(金) 17:00まで |
| 採択日 | 2026年12月下旬以降 順次(予定) |
| 交付申請受付期間 | 2027年1月上旬〜2027年11月中旬(予定) |
| 交付決定日 | 2027年1月下旬以降 順次(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2028年3月中旬(予定)。2027年1月下旬予定から14か月以内 |
| 実績報告期間 | 2027年6月上旬〜2028年3月下旬(予定) |
| 補助金交付手続き | 2027年10月上旬以降 順次(予定) |
受付開始までの準備
- GビズIDプライムアカウントを取得する。取得には1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります。申請はJグランツ以外では受け付けられません。
- 枠を確定する。誰に渡すのかが決まらないと、必要書類も事業計画も書けません。
- 認定経営革新等支援機関に確認書の発行を依頼する。締切直前は混雑します。
- 法人は直近3期分の決算書、個人事業主は開業届と確定申告書を揃える。
- M&Aを考えているなら、依頼先が登録M&A支援機関かを先に確認する。
- 店舗の賃貸借契約と営業許可の見通しを確認する。
採択後の流れも押さえておきます。交付申請、交付決定、事業実施、実績報告、額の確定、精算払、事業化状況報告の順です。補助金は実費弁済方式(精算払い)で、事業完了後の後払いです。見積りより安く済んだ場合は実費分のみが支払われ、超過交付があれば返還命令の対象になります。実績報告は補助事業完了日から30日経過した日、または交付決定通知書記載の補助事業完了期限日から10日経過した日の、いずれか早い方までに提出します。事業化状況報告は毎事業年度終了後90日以内で、事業承継促進枠は補助事業完了後5年間(合計6回)、専門家活用枠は3年間(合計4回)、廃業・再チャレンジ枠は1年間(合計2回)です。全体像は申請の流れにまとめています。
飲食店の承継をどこに相談するか
個人店や小規模法人ほど、相談先の選び方が結果を左右します。公的窓口と民間の支援機関を組み合わせるのが現実的です。
| 相談先 | 相談できること | 公式サイト |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 親族内承継・第三者承継(M&A)の両方。全国47都道府県に設置(東京都は本部と多摩地域の2拠点で計48拠点) | shoukei.smrj.go.jp |
| 登録M&A支援機関(FA・仲介) | 譲渡先・譲受先の探索と交渉。専門家活用枠の委託費は登録機関への支払いのみが対象 | ma-shienkikan.go.jp |
| 認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士等) | 確認書の発行、事業計画の組み立て | ー |
| 保健所 | 飲食店営業許可の承継・新規取得の手続き | ー |
| 事務局(公募要領・FAQ) | 要件の解釈。ただし不採択理由の個別問い合わせには応じません | shoukei-mahojokin.go.jp |
事業承継・引継ぎ支援センターまたは中小機構地域本部の支援を受けて事業承継計画書を策定することは、事業承継促進枠の加点事由でもあります。相談と加点が両立するため、親族内・従業員承継を考えている店は早めに接触しておく価値があります。センターの使い方は支援センターの記事を参照してください。
M&Aの依頼先が登録M&A支援機関かどうかはM&A支援機関登録制度のサイトで確認できます。登録機関からの報告ベースでは、中小M&Aの件数は2024年度で譲渡側4,940件・譲受側4,708件と公表されています(出典:ma-shienkikan.go.jp/登録支援機関からの報告ベースであり、日本の中小M&A全体の件数ではありません)。都道府県によっては、本補助金の採択事業者を対象に自己負担額の一部を上乗せ補助する制度があります。全都道府県を網羅した一次資料は確認できていないため、お住まいの県の公式サイトで確認してください。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。16次公募の日程は事務局が「予定」と注記しているものを含み、変更される場合があります。飲食店営業許可・食品衛生責任者・店舗の賃貸借契約の取扱いは本補助金の公募要領の範囲外であり、本記事は一般的な論点の整理にとどめています。必ず各公式サイトおよび保健所・専門家に最新の情報を確認してください。本記事は採択や補助額を保証するものではありません。