クリニック・医療法人の事業承継・M&A補助金 2026年ガイド
この記事の結論
クリニック・医療法人の事業承継・M&Aでは、承継の相手と費用の時期で使う枠が変わります。補助率は1/3〜2/3、電子申請はJグランツのみ、16次公募の申請締切は2026年11月6日です。対象経費の区分は公募要領の表記どおりに整理してから申請してください。
クリニックの事業承継では、開設者の高齢化により後継者を探す動きが増えていますが、事業承継・M&A補助金は中小企業者等を対象とする制度であり、医療法人格を持つ医療法人はこの中小企業者等の定義から除外されているため、本補助金の対象にはなりません。個人事業主として開業しているクリニック(法人化していない診療所)であれば、承継予定者の要件を満たすことで事業承継促進枠や専門家活用枠の対象になり得ます。医療法人の事業承継・M&Aをお考えの場合は、本補助金以外の制度の活用や、医業経営に詳しい専門家への相談を検討してください。本ページでは、個人開業クリニックが承継・M&Aを行う際に本補助金をどう使えるかを中心に解説します。開設形態の判断に迷う場合は、申請前に認定経営革新等支援機関へ確認することをお勧めします。
| 申請枠 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 上限800万〜1,000万円 | 1/3〜2/3 | 親族内承継・従業員承継など、既存の事業を引き継いだ後の設備投資や新たな取り組みを支援する枠です。 |
| 専門家活用枠 | 上限600万〜800万円(要件を満たす場合は最大2,000万円) | 1/3〜2/3 | 第三者へのM&A(譲渡・譲受)に伴う専門家への費用を支援する枠です。買い手側・売り手側それぞれの類型があります。 |
| PMI推進枠 | 公募要領で確認 | 1/3〜2/3 | M&Aの成立後に行う経営統合(PMI)の取り組みを支援する枠です。補助上限は公募回ごとに公募要領で確認してください。 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 原則300万円 | 1/3〜2/3 | 事業の廃業に伴う費用や、廃業後の再チャレンジを支援する枠です。他の枠と併用する類型もあります。 |
クリニック・医療法人で使える対象経費と申請枠
クリニック・医療法人の事業承継・M&Aで実際に相談の多い対象経費と、その使い方です。区分名は公募要領の表記に合わせています。金額は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認してください。
事業承継促進枠:クリニック・医療法人での使い方
個人開業のクリニックで、院長の子や長年勤務した後継医師が開設者としての地位を引き継ぐ場面
審査で効く理由
個人事業主の承継として、被承継者と承継予定者の共同申請要件や実務経験要件を満たせることを具体的に示しやすいため
専門家活用枠(売り手支援類型):クリニック・医療法人での使い方
後継者不在の個人開業クリニックを、法人化せず個人事業主として引き継ぐ意思のある医師に譲渡する場面
審査で効く理由
患者基盤や診療設備など経営資源の引継ぎ内容を具体的に説明できるため
DD費用:クリニック・医療法人での使い方
譲渡・譲受にあたり、未収診療報酬やリース債務、労務状況を専門家に確認してもらう場面
審査で効く理由
買い手支援類型ではDD実施が実質的に必須とされ、取組の実現可能性を裏付ける材料になるため
委託費:クリニック・医療法人での使い方
クリニックの譲渡先探しや契約交渉を登録M&A支援機関のFAに依頼する場面
審査で効く理由
登録支援機関への支払いのみが対象経費となるため、専門性の高い交渉の必要性を説明しやすいため
廃業支援費:クリニック・医療法人での使い方
承継先が見つからず閉院する個人開業クリニックが、診療設備の廃棄や内装の原状回復を行う場面
審査で効く理由
廃業・再チャレンジ枠の対象経費として、閉院に伴う実費の必要性を具体的に説明できるため
クリニック・医療法人の事業計画で書くべき観点
クリニック・医療法人で審査を通す事業計画には、次の観点を数字と根拠つきで書き込んでください。
- クリニックの開設形態が個人事業主であること(医療法人でないこと)を明確にし、対象要件を満たすことを事業計画の前提として示す。
- 承継予定者(医師等)の勤務年数・診療実績を具体的に書く。
- 患者基盤・診療設備・スタッフの引継ぎ計画を事業計画に明記する。
- 承継後5年間の付加価値額の伸び率3%/年を、診療体制の維持・拡充計画とあわせて示す。
- 開設者変更にともなう保健所等への届出手続きは、本補助金の申請要件とは別に専門家に確認したうえで計画に反映する。