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事業承継・M&A補助金の採択率|11次〜14次は約6割で推移

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この記事の結論

事業承継・M&A補助金の採択率を調べる目的は、たいてい「申請する価値があるか」を判断するためです。結論から言えば、直近4回の採択率は60.7%から61.0%の範囲に収まっており、公募回による変動はほとんどありません。

採択率は4回連続で60%台前半

事業承継・M&A補助金の採択率を調べる目的は、たいてい「申請する価値があるか」を判断するためです。結論から言えば、直近4回の採択率は60.7%から61.0%の範囲に収まっており、公募回による変動はほとんどありません。この安定性は、この補助金を検討するうえで実務的に意味のある情報です。

直近4回の採択率(事務局公表の確定値)

  • 11次公募(2025年7月11日採択): 60.8%
  • 12次公募(2025年10月27日採択): 61.0%
  • 13次公募(2026年1月15日採択): 60.9%
  • 14次公募(2026年5月15日採択): 60.7%

同時に押さえておきたいのは、約4割が不採択になっているという事実です。10件申請すれば4件は通らない計算になります。採択率が高めに見えるからといって準備を軽くしてよい補助金ではありません。

本記事で扱う採択率は、事務局が公表した申請件数と採択件数から算出したものです。事務局は不採択理由についての個別問い合わせには一切応じないとしており、選考の内訳が個別に開示されることはありません。制度全体の概要は2026年 完全ガイド、枠の違いは4つの枠の違いで解説しています。

現在の「事業承継・M&A補助金」(11次公募以降)の推移

令和6年度補正予算の11次公募から名称が「事業承継・M&A補助金」になりました。それ以降の公募回について、事務局が公表した申請件数・採択件数・採択率は次のとおりです。

公募回受付期間採択日申請件数採択件数採択率
11次2025年5月9日〜6月6日2025年7月11日590件359件60.8%
12次2025年8月22日〜9月19日2025年10月27日742件453件61.0%
13次2025年10月31日〜11月28日2026年1月15日481件293件60.9%
14次2026年2月27日〜4月3日2026年5月15日512件311件60.7%
15次2026年6月19日〜7月24日2026年9月中旬以降(予定)本記事作成時点で未確認本記事作成時点で未確認
16次2026年10月2日〜11月6日2026年12月下旬以降(予定)未実施未実施

11次公募は専門家活用枠のみで実施された点に注意が必要です。PMI推進枠が加わったのは12次公募からで、11次公募の590件・359件はすべて専門家活用枠の数字になります。

申請件数の推移を見ると、12次公募の742件が突出しており、13次481件、14次512件と落ち着いています。それにもかかわらず採択率がほとんど動いていないことから、申請件数の増減に応じて採択件数も動いている構造がうかがえます。予算枠の上限で一定件数に絞られるタイプの補助金であれば、申請が増えた回は採択率が下がるはずですが、この補助金ではその動きが見られません。

11次から14次までの4回を合計すると、申請2,325件に対して採択1,416件です。この合計から算出した採択率は約60.9%となり、各回の値とほぼ一致します。回ごとの上下は0.3ポイントの範囲に収まっており、統計的なばらつきというより、審査の運用が一貫していることを示す数字と読むのが自然です。

15次公募の結果は本記事作成時点で未確認

15次公募(受付2026年6月19日〜7月24日)の採択日は「2026年9月中旬以降(予定)」とされており、本記事の作成時点である2026年9月11日では事務局サイトに結果が掲載されていません。最新の状況は事務局サイトのニュース欄でご確認ください。

枠別の申請・採択件数(12次〜14次)

12次公募以降は、事務局が枠別の内訳も公表しています。以下の採択率は、公表された申請件数と採択件数から算出したものです。

12次公募(2025年10月27日採択)

申請件数採択件数採択率(算出値)
事業承継促進枠250件152件約60.8%
専門家活用枠436件266件約61.0%
PMI推進枠55件34件約61.8%
廃業・再チャレンジ枠1件1件
合計742件453件61.0%

13次公募(2026年1月15日採択)

申請件数採択件数採択率(算出値)
事業承継促進枠182件111件約61.0%
専門家活用枠267件163件約61.0%
PMI推進枠32件19件約59.4%
合計481件293件60.9%

14次公募(2026年5月15日採択)

申請件数採択件数採択率(算出値)
事業承継促進枠169件103件約60.9%
専門家活用枠299件180件約60.2%
PMI推進枠43件27件約62.8%
廃業・再チャレンジ枠1件1件
合計512件311件60.7%

枠を選べば採択されやすくなる、という差は見当たりません。事業承継促進枠と専門家活用枠はいずれも60%台前半で並んでおり、PMI推進枠は母数が小さいため回によって振れています。廃業・再チャレンジ枠の単独申請は各回1件前後で、統計として扱える規模ではありません。

枠は採択されやすさで選ぶものではなく、承継の形で決まります。親族内承継・従業員承継は事業承継促進枠、M&Aによる第三者承継は専門家活用枠が対象です。

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旧称「事業承継・引継ぎ補助金」時代(5次〜10次公募)

令和6年度の改称前、この補助金は「事業承継・引継ぎ補助金」という名称でした。当時の枠構成は「経営革新事業(経営革新枠)」「専門家活用事業(専門家活用枠)」「廃業・再チャレンジ事業」の3本立てで、現在の事業承継促進枠にあたるのが経営革新枠です。

公募回受付期間経営革新枠 申請件数と採択件数専門家活用枠 申請件数と採択件数
5次2023年3月20日〜5月12日309件から186件(約60.2%)453件から275件(約60.7%)
6次2023年6月16日〜8月10日357件から218件(約61.1%)468件から282件(約60.3%)
7次2023年9月15日〜11月17日313件から190件(約60.7%)498件から299件(約60.0%)
8次2024年1月9日〜2月16日334件から201件(約60.2%)374件から229件(約61.2%)
9次2024年4月1日〜4月30日388件から233件(約60.1%)440件から275件(約62.5%)
10次2024年7月1日〜7月31日実施なし518件から318件(約61.4%)

括弧内の採択率は、事務局が公表した申請件数と採択件数から算出した値です。5次から10次の6回、そして11次から14次の4回、合計10回にわたっておおむね60%前後という水準が続いていることがわかります。制度の名称や枠の構成が変わっても、この水準は維持されています。

廃業・再チャレンジ事業の実績

公募回廃業・再チャレンジの状況
5次単独0件、併用37件のうち17件採択
6次単独1件、併用36件のうち23件採択
7次単独2件、併用26件のうち10件採択
8次単独1件、併用21件のうち12件採択
9次併用25件のうち14件採択
10次廃業費8件の申請のうち3件採択

単独申請は各回0件から2件にとどまり、併用申請が中心であることが数字にも表れています。廃業・再チャレンジ枠の使い方は廃業・再チャレンジ枠とはで解説しています。

制度初期(令和2年度〜令和3年度)は水準が違った

さらにさかのぼると、制度初期の採択率は現在とかなり異なります。令和2年度第3次補正予算および令和3年度当初予算による公募の実績は次のとおりです。

予算・公募受付期間経営革新 申請件数と採択件数専門家活用 申請件数と採択件数
令和2年度第3次補正・一次公募2021年6月11日〜7月12日335件から167件(約49.9%)412件から346件(約84.0%)
令和2年度第3次補正・二次公募2021年7月13日〜8月13日375件から187件(約49.9%)420件から330件(約78.6%)
令和3年度当初予算・公募2021年9月30日〜10月26日136件から75件(約55.1%)270件から236件(約87.4%)

制度初期は、経営革新側が50%前後、専門家活用側が80%前後と、枠による差が大きく開いていました。現在のように両者が60%前後で揃うようになったのは、5次公募以降のことです。

古いデータをそのまま参考にしない

制度初期の経営革新枠は「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3類型で構成されており、対象範囲が現在の事業承継促進枠と異なります。現行の事業承継促進枠は親族内承継・従業員承継が対象で、M&Aによる承継は対象外です。したがって初期の採択率と現行制度の採択率を単純に比較することはできません。「昔は専門家活用が8割通った」といった情報を現在の判断材料にしないでください。

制度の名称と枠構成がどう変わってきたかは名称変更の沿革で整理しています。

採択率という数字の読み方

採択率を判断材料にする際、意味を取り違えやすい点がいくつかあります。

誤解実際
6割通るなら、とりあえず出せばよい約4割は不採択。審査は資格審査と書面審査の2段階で行われる
採択されれば補助金がもらえる採択は交付申請をする権利の保障であり、交付決定とは別。さらに実費弁済の精算払いで後払い
不採択の理由を教えてもらえる審査結果についての個別問い合わせに事務局は一切応じない
母数には要件を満たさない申請も含まれる申請件数には資格審査で外れたものも含まれるため、要件を満たした申請だけで見れば実質の通過率は異なる可能性がある
枠を選べば採択率を上げられる12次から14次の枠別の数字を見る限り、枠による有意な差は確認できない

審査の仕組み

審査は資格審査と書面審査の2段階です。資格審査では対象者・対象事業・補助上限額等の適合が確認され、書面審査は外部有識者で構成される審査委員会が行います。書面審査の着眼点として公募要領に示されているのは次の4点です。

  • 取組の目的・必要性
  • 取組の実現可能性
  • 取組の収益性
  • 取組の継続性

選考に係る審査料は徴収されません。事業計画をこの4つの観点で説明できているかどうかが、6割の側に入るための実務的な論点になります。書き方は事業計画書の書き方、不採択になりやすいパターンは不採択になる理由で扱っています。

加点事由で差がつく部分

採択率が公募回を通じて安定しているということは、審査の基準も大きくは変わっていないと考えられます。そのなかで申請者側が能動的に動かせるのが加点事由です。16次公募の事業承継促進枠で示されている加点事由は次のとおりです。

加点事由備考
中小企業の会計に関する基本要領・指針の適用
経営力向上計画の認定・経営革新計画の承認・先端設備等導入計画の認定
地域おこし協力隊事業承継促進枠のみ
地域未来牽引企業
健康経営優良法人
サイバーセキュリティお助け隊サービス利用
(連携)事業継続力強化計画の認定
アトツギ甲子園出場者事業承継促進枠のみ。代表者予定者を含む
ワーク・ライフ・バランス推進(えるぼし認定・くるみん認定等)
賃上げ表明事業承継促進枠とPMI事業統合投資類型は3%以上で上限額引き上げと連動。それ以外の枠は2%以上が加点事由
成長加速マッチングサービス会員登録と挑戦課題登録事業承継促進枠のみ
事業承継・引継ぎ支援センターまたは中小機構地域本部の支援を受けた事業承継計画書策定事業承継促進枠のみ
米国の追加関税措置により大きな影響を受けていること事業承継促進枠のみ。16次公募で新規追加

専門家活用枠では、アトツギ甲子園・地域おこし協力隊・成長加速マッチング・支援センター支援は加点事由に含まれない一方、小規模事業者等に該当すること自体が加点事由になります。PMI推進枠ではDDの実施が加点事由です。

加点を取ったら達成義務が生じる

加点事由を申請して交付決定を受けたにもかかわらず、賃上げ等の要件が事業化状況報告で未達だった場合、未達の報告から18か月間、中小企業庁が所管する他の補助金の申請で正当な理由なく大幅に減点される取扱いがあります。加点は「取れるだけ取る」ものではなく、達成できるものを選ぶという判断が必要です。

加点と審査の詳細は加点と審査の観点にまとめています。

公表されていないデータ(採択企業一覧・都道府県別)

採択率を調べていると「採択された企業の一覧を見たい」「自分の県の採択件数を知りたい」という要望が出てきますが、いずれも公開されていません。

知りたいこと公開状況
専門家活用枠の採択企業一覧非公表。複数の公募回で「補助事業の特性に鑑み、採択者を非公表とする」と事務局が明記
廃業・再チャレンジ枠の採択企業一覧同様に非公表とされた回がある
都道府県別の採択件数事務局サイトに一覧なし。本記事作成時点で一次資料を確認できていない
不採択の理由個別問い合わせに事務局は一切応じない
業種別の採択率本記事作成時点で公表資料を確認できていない

専門家活用枠の採択者が非公表とされているのは、M&Aという取引の性質上、譲渡・譲受の事実が公になること自体が当事者に不利益をもたらし得るためと考えられます。「採択された企業リストで実績のある支援機関を探す」といった調べ方は、この補助金では成り立ちません。支援機関を選ぶ際は、採択実績の話ではなく、M&A支援機関登録制度への登録の有無と中小M&Aガイドライン第3版対応の表示を確認してください。詳しくは登録M&A支援機関とはで解説しています。

なお、他の補助金でよく見かける「採択率の高い認定支援機関ランキング」のような情報も、この補助金では根拠となるデータが公開されていません。支援を依頼する相手を選ぶ際は、公表されていない数字を持ち出す説明ではなく、要件と手続きを正確に把握しているかどうかで判断するのが安全です。

地域の情報を得たい場合

都道府県別の採択件数は公表されていませんが、地域の相談先は明確です。事業承継・引継ぎ支援センターが全国47都道府県に設置されており(東京都のみ本部と多摩地域の2拠点で計48拠点)、親族内承継も第三者承継も相談できます。また、都道府県によっては本補助金の採択事業者を対象に自己負担額の一部を追加補助する上乗せ制度が存在します。詳細は各県の公式サイトでご確認ください。

16次公募に向けて、6割の側に入るための準備

16次公募の申請受付期間は2026年10月2日(金)から2026年11月6日(金)17時までです。公募要領は2026年9月4日に先行開示されており、2026年9月11日時点では受付前の準備期間にあたります。

工程時期
公募要領開示2026年9月4日(金)
説明会の申込受付2026年9月9日(水)〜10月7日(水)17時
説明会(オンライン)2026年10月9日(金)14時〜
公募申請受付期間2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17時
採択日2026年12月下旬以降 順次(予定)
交付決定日2027年1月下旬以降 順次(予定)

受付開始までにやっておくこと

  • GビズIDプライムアカウントの取得(1週間から2週間、混雑時は3週間程度かかる)
  • 認定経営革新等支援機関への確認書発行の事前相談(締切直前は集中して間に合わないことがある)
  • 事業計画を「目的・必要性」「実現可能性」「収益性」「継続性」の4観点で説明できる形に整理する
  • 達成できる加点事由の選定(未達だと18か月の減点措置がある)
  • 事業承継促進枠なら生産性向上要件(付加価値額または1人当たり付加価値額の年3%以上向上)の計画を組む
  • 専門家活用枠なら支援機関がM&A支援機関登録制度に登録されているかを確認する

採択率が6割で安定しているということは、準備の質が結果に反映されやすい制度だということでもあります。倍率が極端に高い補助金と違い、要件を満たし、審査の観点に沿って説明できていれば通る可能性が十分にある水準です。申請の全体像は申請の流れ、必要書類は枠別の必要書類で確認できます。

出典・参考情報

最終更新日: 2026年9月11日。本記事の申請件数・採択件数は事務局が公表した確定値です。「約○%」と記載した枠別の採択率は、公表された申請件数と採択件数から本サイトが算出した値です。制度内容・日程は変更される場合がありますので、申請前に必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。過去の採択率は将来の採択を保証するものではありません。

よくある質問(FAQ)

A

事務局が公表した確定値では、11次公募60.8%、12次公募61.0%、13次公募60.9%、14次公募60.7%です。4回連続で60.7%から61.0%の範囲に収まっており、非常に安定しています。旧称の事業承継・引継ぎ補助金だった5次から10次公募でも概ね60%前後で推移していました。

A

12次から14次の公表内訳から算出した限りでは、事業承継促進枠と専門家活用枠はいずれも60%台前半で並んでおり、有意な差は確認できません。PMI推進枠は申請件数が数十件と少ないため回によって振れています。採択されやすさで枠を選ぶという発想は成り立たず、枠は承継の形(親族内・従業員・第三者)で決まります。

A

2026年9月11日時点では確認できていません。15次公募(受付2026年6月19日〜7月24日)の採択日は「2026年9月中旬以降(予定)」とされており、本記事作成時点で事務局サイトに結果が掲載されていないためです。最新の状況は事務局サイトのニュース欄でご確認ください。

A

教えてもらえません。審査結果(不採択理由)についての個別の問い合わせには事務局は一切応じないとされています。次回に向けては、公募要領に示された書面審査の着眼点である「取組の目的・必要性」「取組の実現可能性」「取組の収益性」「取組の継続性」の4点に沿って計画を見直すことになります。

A

専門家活用枠については、複数の公募回で「補助事業の特性に鑑み、採択者を非公表とする」と事務局が明記しており、一覧は公開されていません。M&Aという取引の性質上、当事者名が公になること自体が不利益になり得るためと考えられます。採択企業のリストから支援機関の実績を調べるという方法は、この補助金では使えません。

A

事務局サイトに都道府県別の一覧はなく、本記事作成時点で一次資料を確認できていません。地域単位の情報が必要な場合は、全国47都道府県に設置された事業承継・引継ぎ支援センター(東京都のみ本部と多摩地域の2拠点で計48拠点)に相談するのが実務的です。

A

そうとは限りません。6割ということは約4割が不採択になっているということでもあります。審査は資格審査と書面審査の2段階で、書面審査は外部有識者で構成される審査委員会が行います。要件の適合と、4つの着眼点に沿った説明ができているかが問われます。

A

受け取れるとは限りません。採択は交付申請をする権利の保障であり、交付決定とは別のステップです。さらに補助金は実費弁済の精算払いで、交付決定後に事業を実施し、実績報告を提出して事務局が額を確定してから支払われます。見積より安く済んだ場合は実費分のみとなり、事業承継促進枠では承継が期間内に完了しない場合など返還を求められるケースもあります。

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本記事の監修

齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)

AI・ロボティクスの導入支援、補助金・助成金の活用支援、専門メディアの運営など複数事業を統括。実務で得た知見をもとに、本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。

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