介護事業所の事業承継・M&A補助金2026|社会福祉法人は対象外
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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公募中 9件
この記事の結論
介護事業所は、経営者の高齢化と人材不足が同時に進んでいます。利用者と職員を抱えたまま事業をどう引き継ぐかは、地域の介護提供体制にも関わる問題です。
介護事業所の承継と、この補助金の位置づけ
介護事業所は、経営者の高齢化と人材不足が同時に進んでいます。利用者と職員を抱えたまま事業をどう引き継ぐかは、地域の介護提供体制にも関わる問題です。実務では、子や管理者への承継、同業による事業所の譲受、複数事業所を運営する法人への売却といった選択肢が並びます。事業承継・M&A補助金は、この引き継ぎにかかる専門家費用と、承継を機に行う投資を支える制度です。
ただし本補助金は、中小企業者等を対象とする制度です。介護分野には社会福祉法人・医療法人といった対象外の法人格が多く含まれるため、まず運営法人の形態を確認することが出発点になります。加えて、介護報酬との重複禁止という介護分野固有の論点があります。
最初に確認すること
本補助金の対象者は中小企業者等で、その定義から社会福祉法人・医療法人・一般社団法人・一般財団法人・学校法人・農事組合法人・組合等の法人格、および法人格のない任意団体は除外されています。これらの法人が運営する介護事業所は本補助金を利用できません。株式会社等の中小企業者等に該当する法人、または個人事業主であれば対象になり得ます。上記に挙がっていない法人格については、申請前に事務局または認定経営革新等支援機関に確認してください。
この記事の前提
- 数値・日程は16次公募要領(Ver.1.0・2026年9月4日開示)と事務局サイトの事業スケジュール欄によります。事務局が「予定」と注記している項目があります。
- 2026年9月11日時点で16次公募の申請受付は開始前です。受付開始は2026年10月2日(金)です。
- 介護保険事業者の指定・人員基準・運営基準の取扱いは本補助金の公募要領に規定がありません。本記事では論点の所在を示すにとどめ、可否は指定権者への確認をお願いする形にしています。
対象者の判定。法人形態と小規模事業者等
判定は2段階です。第1段階は法人格、第2段階は小規模事業者等への該当です。
| 運営形態 | 本補助金の対象 | 根拠 |
| 株式会社・有限会社・合同会社が運営する介護事業所 | 対象になり得る | 中小企業者等の要件(業種別の資本金・従業員数基準)を満たすことが前提です |
| 個人事業主が運営する介護事業所 | 対象になり得る | 中小企業者等には個人事業主が含まれます |
| 社会福祉法人が運営する介護事業所 | 対象外 | 社会福祉法人は中小企業者等の定義から除外されています |
| 医療法人が運営する介護事業所 | 対象外 | 医療法人も定義から除外されています |
| 一般社団法人・一般財団法人・学校法人・組合等 | 対象外 | いずれも定義から除外されています |
| 親会社が議決権の50%超を持つ子会社 | 対象外 | みなし大企業・みなし同一法人は対象外です |
第2段階の小規模事業者等の判定は、業種別の従業員数で行われます。該当すると事業承継促進枠の補助率が1/2から2/3に上がり、専門家活用枠では小規模事業者等であること自体が加点事由になります。
| 区分 | 従業員数の基準 | 介護事業所での考え方 |
| サービス業 | 従業員5人以下 | 介護事業所は一般にこの区分として扱われます。介護職員・看護職員・事務職員を含む常時使用する従業員数で判断します |
| 商業(卸売業・小売業) | 従業員5人以下 | 福祉用具の販売が事業の主体である場合など、実態に応じて判断されます |
| 製造業その他 | 従業員20人以下 | 製造部門が主体の関連事業の場合です |
| 宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 | 介護事業所では通常該当しません |
介護事業所は常時使用する従業員が多くなりやすく、複数事業所を運営していれば全社で判定されるため、小規模事業者等に該当しないケースも珍しくありません。その場合でも中小企業者等に該当すれば申請自体は可能で、補助率が1/2以内になるという違いです。補助率と上限の全体像は補助率と上限額の記事にあります。
事業所の渡し方・引受け方で枠が決まる
枠の選択が最初の分岐です。介護事業所でよくある承継のかたちを当てはめます。
| 介護事業所でよくある承継のかたち | 使う枠 | 主な要件 |
| 経営者の子が引き継ぐ | 事業承継促進枠 | 承継予定者は被承継者の親族(六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族)で、対象会社の代表経験が無いこと |
| 長年勤めた管理者・役員が引き継ぐ | 事業承継促進枠 | 役員として3年以上、または継続3年以上雇用され業務に従事した経験。通算3年以上でも可 |
| 同業が事業所を譲り受けて拠点を増やす(買い手) | 専門家活用枠 買い手支援類型 | 補助率2/3以内・上限600万円、DD費用の上乗せで合計800万円まで |
| 人手不足で継続が難しく第三者に譲る(売り手) | 専門家活用枠 売り手支援類型 | 補助率1/2または2/3以内・上限600万円、DD費用の上乗せで合計800万円まで |
| 小規模な単独事業所が第三者に譲る | 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 | 補助率2/3以内・補助下限額なし・上限450万円。通常の売り手支援類型との同時申請は不可 |
| 譲り受けた事業所の介護記録・シフト管理システムを統合する | PMI推進枠 事業統合投資類型 | 補助率1/2以内(小規模事業者等は2/3以内)・下限100万円・上限800万円 |
| 統合計画づくりを専門家に依頼する | PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 補助率1/2以内・下限50万円・上限150万円 |
| 譲渡先が見つからず事業所を閉じて再挑戦する | 廃業・再チャレンジ枠(単独申請) | M&Aで事業を譲り渡せなかったことが要件。対象会社と支配株主等の共同申請が必要 |
| 承継・M&Aに伴い不採算の1事業所を閉じる | 廃業・再チャレンジ枠(併用申請) | 主となる枠への上乗せ。別申請は不要 |
PMI推進枠には対象外となるM&Aの類型があります
PMI推進枠で「実質的な事業再編・事業統合が行われたとみなされない」例として、グループ内の事業再編、物品・不動産等のみの売買、親族間の事業承継、被承継者や株主と承継者が同族関係者・支配関係にある法人間の取引、承継後に承継者側の議決権が過半数に達しない場合、承継前から既に議決権過半数を保有していた場合、譲渡価格0円や株価1円など取引価格の合理性が確認できない取引、事業譲渡で有機的一体の経営資源(設備・従業員・顧客等)の引継ぎが行われていない場合、休眠会社でのM&Aが挙げられています。介護事業所の事業譲渡では、不動産業以外でも原則として常時使用する従業員1名以上の引継ぎが必要とされている点にも注意してください。
併用については、廃業・再チャレンジ枠が事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠のいずれとも併用できます。専門家活用枠の買い手支援類型とPMI推進枠のPMI専門家活用類型は同一公募回で同時申請が可能です。一方、事業承継促進枠と専門家活用枠・PMI推進枠を同一公募回で申請することはできません。詳細は4つの枠の違いとPMI推進枠の記事にあります。
補助率・上限額と、介護報酬との重複禁止
金額の条件を整理します。介護分野では、この表と重複禁止の規定をセットで確認してください。
| 枠・類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
| 事業承継促進枠(小規模事業者等) | 2/3以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 事業承継促進枠(通常) | 1/2以内 | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 専門家活用枠 買い手支援類型(通常) | 2/3以内 | 50万円 | 600万円(DD費用上乗せで800万円) |
| 専門家活用枠 売り手支援類型 | 1/2または2/3以内 | 50万円 | 600万円(DD費用上乗せで800万円) |
| 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 | 2/3以内 | なし | 450万円 |
| PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 1/2以内 | 50万円 | 150万円 |
| PMI推進枠 事業統合投資類型 | 1/2以内(小規模事業者等は2/3以内) | 100万円 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円) |
| 廃業・再チャレンジ枠(単独) | 2/3以内 | 50万円 | 300万円 |
| 廃業・再チャレンジ枠(併用) | 主となる枠の補助率に従う | 50万円 | 300万円 |
介護報酬との重複は対象外です
本補助金は、国(独立行政法人を含む)の他の補助金・助成金と同一・類似内容で重複する事業を対象としていません。これに加え、公的医療保険・介護保険の診療報酬・介護報酬との重複も対象外とされています。ただし、報酬事業の対象設備と完全に別事業所で分離すれば重複としない扱いの例外があるとされています。介護報酬に基づく仕組みで手当されている取組と重ならないかは、計上前に事務局または認定経営革新等支援機関へ確認してください。交付決定後に重複が判明した場合は取消しの対象になります。
事業承継促進枠とPMI推進枠 事業統合投資類型で上限を1,000万円に引き上げる賃上げ要件は、補助事業完了日を含む事業年度(基準年度)から翌年度にかけて従業員1人当たり給与支給総額の上昇率3%以上を達成し、公募申請時までに全従業員・役員へ表明していることです。未達成の場合は引き上げ額(最大200万円)の返還を求められ、事業計画期間中の各年度末で水準を維持できない場合も同様です。対象者の範囲には細かい定義があり、パート等の非正規雇用者は含まれる一方、役員・同居親族従業員・30日未満の解雇予告で足りる者は除かれるとされています。介護報酬に基づく処遇改善の仕組みとの関係については、要領の定義を確認したうえで事務局に確認してください。
専門家活用枠にはクロージングしなかった場合の縮小規定もあります。補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合、上限額は通常版で300万円、小規模売り手支援類型で50万円に縮小され、原則としてDD費用のみが補助対象経費になります。また、専門家活用枠側のM&Aがクロージングしなかった場合、同時申請したPMI推進枠側も補助対象外になります。
介護事業所での対象経費の当てはめと、対象外になるもの
承継の場面で介護事業所に発生しがちな支出を、枠と費目に当てはめます。介護報酬と重なる可能性のある取組は、前節のとおり事前確認が必要です。
| 介護事業所でよくある支出 | 使う枠 | 対象経費としての位置づけ |
| 承継を機に導入する介護記録・請求システム | 事業承継促進枠 | 設備投資として計上。交付決定日以降の契約・発注・支払いに限られます |
| 譲り受けた事業所と自社のシステムを統合する | PMI推進枠 事業統合投資類型 | 経営統合効果を高める投資として位置づけます。仲介手数料・DD費用・PMI専門家手数料はこの類型では対象外です |
| 承継を機に行う事業所の改修・設備更新 | 事業承継促進枠 | 承継後の稼働率・職員体制の改善につながることを事業計画で説明します |
| 譲渡先・譲受先を探す仲介・FAへの報酬 | 専門家活用枠 | 委託費。M&A支援機関登録制度に登録された業者への支払いのみが対象です |
| デュー・ディリジェンス(DD)費用 | 専門家活用枠 | 買い手支援類型はDD実施が実質的に必須とされています。介護報酬債権・指定基準の遵守状況・労務状況の調査が典型です |
| 表明保証保険の保険料 | 専門家活用枠 | 保険料として対象。同一案件で買い手・売り手が重複加入することはできません |
| 統合計画づくりの専門家費用 | PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 金融機関または弁護士・会計士・税理士・中小企業診断士・経営コンサルタント等への費用 |
| 事業所を閉じる際の原状回復・設備撤去・登記手続き | 廃業・再チャレンジ枠 | 原状回復費・解体費・廃業支援費(司法書士への登記申請手続き経費)等 |
対象外になるもの
| 対象外になるもの | 根拠・注意点 |
| 公的介護保険の介護報酬と同一・類似内容で重複する事業 | 対象外。別事業所で完全に分離した場合の例外があるとされています |
| 売上原価に相当する経費 | 全枠共通で対象外です |
| 被承継者に支払う譲受費用(土地・資産購入費用等) | 事業承継促進枠では対象外。先代から不動産や設備を買い取る費用は計上できません |
| 交付決定日より前の契約・発注・支払い | 原則、交付決定日以降の契約・発注かつ支払い完了分のみが対象です |
| 物品・不動産等のみを保有する事業の承継 | 実質的な事業承継とみなされない例です。事業譲渡では有機的一体の経営資源の引継ぎが必要です |
| ファイナンスリースの解約金・違約金 | 廃業費全般で対象外。送迎車両や介護機器のリース契約は要確認です |
| 登録M&A支援機関以外への仲介・FA費用 | 未登録業者への支払いは全額対象外。相見積りで最低価格を提示していない業者を選んだ場合も対象外です |
| 事業統合投資類型でのM&A仲介手数料・DD費用・PMI専門家手数料 | PMI推進枠 事業統合投資類型では対象外。専門家活用枠またはPMI専門家活用類型で申請します |
対象経費の考え方は対象経費の記事、DD費用はDD費用の記事で扱っています。
介護保険事業者の指定・人員基準は補助金の審査対象ではない
介護事業所の承継では、指定の取扱いと人員基準の維持が実務の中心になります。ここは補助金と切り分けてください。本補助金の公募要領には、介護保険事業者の指定・人員基準・運営基準に関する規定は一切ありません。事務局はこれらを審査しません。
| 論点 | 誰が判断するか | 補助金との関係 |
| 介護保険事業者の指定を承継後にどう扱うか | 都道府県・市町村等の指定権者 | 要領に規定なし。事務局の審査対象外です |
| 株式譲渡と事業譲渡で指定の扱いが変わるか | 指定権者。手続きは専門家に相談 | 要領に規定なし。ただしスキームの選択によって使う枠が変わることはあります |
| 人員基準・運営基準を承継後も満たせるか | 指定権者 | 要領に規定なし。ただし事業の継続性を説明する材料にはなります |
| 利用者との契約・個人情報の引継ぎ | 契約内容および個人情報の取扱いに関する法令による | 要領に規定なし。引継ぎ方法は計画に書く価値があります |
| 承継予定者の実務経験年数(役員3年以上等) | 事務局(認定経営革新等支援機関の確認を経る) | 事業承継促進枠の要件そのものです |
| 事業譲渡での従業員1名以上の引継ぎ | 事務局 | PMI推進枠では、不動産業以外でも原則として常時使用する従業員1名以上の引継ぎが必要とされています |
指定の取扱いは指定権者に確認してください
介護保険事業者の指定や人員基準の取扱いは、本記事の情報源である公募要領の範囲外です。可否や必要な手続きは、都道府県・市町村等の指定権者または専門家に必ず確認してください。本記事では論点の所在を示すにとどめています。
実務では、指定と人員の見通しを先に立て、そのうえで補助金の枠と事業計画を組むのが安全です。サービス提供を止めずに引き継げるかどうかは、審査の着眼点である「取組の実現可能性」と「取組の継続性」の説明に直結します。
利用者と職員の引継ぎを、審査の言葉に翻訳する
書面審査は外部有識者で構成される審査委員会が行い、着眼点は【取組の目的・必要性】【取組の実現可能性】【取組の収益性】【取組の継続性】の4つです。介護事業所では、利用者と職員をどう引き継ぐかが計画の芯になります。
| 審査の着眼点 | 介護事業所の計画で書くこと |
| 取組の目的・必要性 | なぜ今の承継なのか。経営者の年齢、職員の年齢構成と採用状況、地域の介護提供体制における位置づけを具体的に書きます |
| 取組の実現可能性 | 承継予定者の勤務年数と役割(管理者・サービス提供責任者等の経験)、指定と人員基準の見通し、資金計画を書きます |
| 取組の収益性 | 承継を機に行う投資が、稼働率・職員1人あたりの対応件数・間接業務の時間・離職率のどこにどう効くのかを書きます。記録システムなら記録と請求の手間の削減、という筋道です |
| 取組の継続性 | 介護職員・看護職員の残留、利用者・家族への説明計画、ケアマネジャーや医療機関との関係の維持、指定基準を満たす体制を書きます |
事業承継促進枠では、さらに生産性向上要件があります。補助事業期間を含む5年間の計画で、付加価値額または1人当たり付加価値額の伸び率が年3%向上する計画であることです。付加価値額は営業利益と人件費と減価償却費の合計で定義されます。人件費比率の高い介護事業では、稼働率の改善と間接業務の効率化のどちらで伸ばすのかを明確にしておく必要があります。
要件面では、経営権と所有権(株式・持分等)の両方が被承継者から承継者へ譲渡されることが必要です。事業承継対象期間は公募申請受付終了日から5年後までで、16次公募なら2026年11月6日から2031年11月5日までに承継を完了する蓋然性が高いことを、認定経営革新等支援機関が確認します。確認書の取り方は確認書の記事にあります。
加点事由には、経営力向上計画の認定、経営革新計画の承認、先端設備等導入計画の認定、(連携)事業継続力強化計画の認定、健康経営優良法人、地域未来牽引企業、サイバーセキュリティお助け隊サービス利用、ワーク・ライフ・バランス推進(えるぼし認定・くるみん認定等)、賃上げ表明などがあります。専門家活用枠では小規模事業者等に該当すること自体が加点事由、PMI推進枠ではDD実施が加点事由です。詳細は加点と審査の記事を参照してください。
介護事業所の申請でつまずきやすい点
要領とFAQから、介護事業所の承継で問題になりやすい箇所を抜き出します。
| つまずきやすい点 | 要領上の扱い |
| 社会福祉法人であることに気づかず準備を進めた | 社会福祉法人は中小企業者等の定義から除外されており対象外です。入口の確認を先に行ってください |
| 介護報酬で手当されている取組を補助対象経費にした | 公的介護保険の介護報酬と同一・類似内容で重複する事業は対象外です。別事業所で完全に分離した場合の例外があるとされています |
| グループ内で事業所を移管した | グループ内の事業再編は、事業承継促進枠でもPMI推進枠でも対象外の例に挙げられています |
| 親族間で事業所を移した(PMI推進枠) | PMI推進枠では親族間の事業承継が対象外の例に挙げられています。親族内承継は事業承継促進枠の管轄です |
| 事業譲渡で従業員を引き継がなかった | PMI推進枠では、不動産業以外でも原則として常時使用する従業員1名以上の引継ぎが必要とされています |
| 譲渡価格を0円や1円にした | 取引価格の合理性が確認できない取引は、実質的な事業再編・事業統合とみなされない例です |
| 代表だけ交代し、株式は先代が持ち続ける | 経営権と所有権のいずれの移転も伴わない代表者交代のみは対象外の例です |
| 採択の連絡ですぐシステムを発注した | 採択は交付申請する権利の保障であって交付決定ではありません。交付決定前に着手した経費は対象外です |
| 仲介を依頼した会社が登録M&A支援機関でなかった | 登録された業者への支払いのみが委託費の対象です。相見積りで最低価格を提示していない業者を選んだ場合も対象外です |
| 事業統合投資類型で仲介手数料やDD費用を計上した | 事業統合投資類型では対象外です。専門家活用枠またはPMI専門家活用類型で申請します |
採択率は、現ブランドの確定値で11次60.8%、12次61.0%、13次60.9%、14次60.7%と、4回連続して約6割です(出典:shoukei-mahojokin.go.jp)。なお12次から14次のPMI推進枠は、申請55件に対し採択34件、申請32件に対し採択19件、申請43件に対し採択27件でした。事務局は不採択理由の個別問い合わせに応じないため、要件の取り違えは自力で潰しておく必要があります。よくある不備は不採択理由の記事にまとめています。
16次公募の日程と、いま介護事業所がやること
16次公募のスケジュールは事務局サイトの事業スケジュール欄に掲載されています。2026年9月11日時点では要領のみが先行開示された状態です。
| 項目 | 時期 |
| 公募要領開示・サイト開設 | 2026年9月4日(金) |
| 説明会申込受付 | 2026年9月9日(水)〜10月7日(水) 17:00まで |
| 説明会 | 2026年10月9日(金) 14:00〜(オンライン、Microsoft Teamsタウンホール形式) |
| 公募申請受付期間 | 2026年10月2日(金)〜2026年11月6日(金) 17:00まで |
| 採択日 | 2026年12月下旬以降 順次(予定) |
| 交付申請受付期間 | 2027年1月上旬〜2027年11月中旬(予定) |
| 交付決定日 | 2027年1月下旬以降 順次(予定) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2028年3月中旬(予定)。2027年1月下旬予定から14か月以内 |
| 実績報告期間 | 2027年6月上旬〜2028年3月下旬(予定) |
| 補助金交付手続き | 2027年10月上旬以降 順次(予定) |
受付開始までの準備
- 運営法人の形態を確認する。社会福祉法人・医療法人等であれば本補助金は使えません。
- GビズIDプライムアカウントを取得する。取得には1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります。
- 承継のかたち(親族内・従業員・第三者)を決め、枠を確定する。
- 認定経営革新等支援機関に確認書の発行を依頼する。締切直前は混雑します。
- 直近3期分の決算書・申告書、指定通知書・運営規程を揃える。
- 補助対象経費に介護報酬との重複がないかを事前に確認する。
- M&Aなら、依頼先が登録M&A支援機関かを先に確認する。
採択後は、交付申請、交付決定、事業実施、実績報告、額の確定、精算払、事業化状況報告の順に進みます。補助金は実費弁済方式(精算払い)で、事業完了後の後払いです。実績報告は補助事業完了日から30日経過した日、または交付決定通知書記載の補助事業完了期限日から10日経過した日の、いずれか早い方までに提出します。事業化状況報告は毎事業年度終了後90日以内で、事業承継促進枠とPMI推進枠事業統合投資類型は補助事業完了後5年間(合計6回)、専門家活用枠とPMI専門家活用類型は3年間(合計4回)、廃業・再チャレンジ枠は1年間(合計2回)です。証拠書類は報告年度終了後5年間の保存義務があります。全体像は申請の流れにあります。
介護事業所の承継をどこに相談するか
介護の承継は、補助金・指定手続き・人員体制の3つが同時に動きます。窓口を役割で分けて考えると整理しやすくなります。
| 相談先 | 相談できること | 公式サイト |
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 親族内承継・第三者承継(M&A)の両方。全国47都道府県に設置(東京都は本部と多摩地域の2拠点で計48拠点) | shoukei.smrj.go.jp |
| 登録M&A支援機関(FA・仲介) | 譲渡先・譲受先の探索と交渉。専門家活用枠の委託費は登録機関への支払いのみが対象 | ma-shienkikan.go.jp |
| 認定経営革新等支援機関(税理士・中小企業診断士等) | 対象要件の確認、確認書の発行、事業計画の組み立て | ー |
| 都道府県・市町村等の指定権者 | 介護保険事業者の指定、人員基準・運営基準に関する手続き | ー |
| 事務局(公募要領・FAQ) | 要件の解釈、介護報酬との重複可否。ただし不採択理由の個別問い合わせには応じません | shoukei-mahojokin.go.jp |
事業承継・引継ぎ支援センターまたは中小機構地域本部の支援を受けて事業承継計画書を策定することは、事業承継促進枠の加点事由でもあります。親族内・従業員承継を考えている事業所は早めに接触しておく価値があります。使い方は支援センターの記事を参照してください。
M&Aの依頼先が登録M&A支援機関かどうかはM&A支援機関登録制度のサイトで確認できます。登録機関からの報告ベースでは、中小M&Aの件数は2024年度で譲渡側4,940件・譲受側4,708件と公表されています(出典:ma-shienkikan.go.jp/登録支援機関からの報告ベースであり、日本の中小M&A全体の件数ではありません)。都道府県によっては、本補助金の採択事業者を対象に自己負担額の一部を上乗せ補助する制度があります。全都道府県を網羅した一次資料は確認できていないため、お住まいの県の公式サイトで確認してください。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。16次公募の日程は事務局が「予定」と注記しているものを含み、変更される場合があります。介護保険事業者の指定・人員基準・運営基準の取扱いは本補助金の公募要領の範囲外であり、本記事は一般的な論点の整理にとどめています。必ず各公式サイトおよび指定権者・専門家に最新の情報を確認してください。本記事は採択や補助額を保証するものではありません。