旅館・ホテルの事業承継・M&A補助金 2026年ガイド
この記事の結論
旅館・ホテルの事業承継・M&Aでは、承継の相手と費用の時期で使う枠が変わります。補助率は1/3〜2/3、電子申請はJグランツのみ、16次公募の申請締切は2026年11月6日です。対象経費の区分は公募要領の表記どおりに整理してから申請してください。
旅館・ホテル業は経営者の高齢化と後継者不足が指摘される業種の一つで、女将や支配人としての接客ノウハウ、常連客との関係をどう引き継ぐかが承継の成否を左右します。長年勤務してきた従業員が経営を引き継ぐ場合は事業承継促進枠、廃業を検討する近隣施設をM&Aで譲り受ける場合は専門家活用枠が主な選択肢です。老朽化した客室や浴場設備の更新は、生産性向上要件の裏付けとなる投資として事業計画に位置づけられます。一方で旅館業許可の承継手続きは本補助金の要件とは別の行政手続きであり、保健所や行政書士など専門家への確認が必要です。譲り受ける建物・土地そのものの購入費用は補助対象外である点にも注意し、設備投資や専門家活用の費用を中心に計画を組み立てることが実務上のポイントになります。また、事業承継促進枠の交付を受けた場合は補助事業完了後5年間の事業化状況報告が必要になるため、承継後の運営体制を見据えた長期的な計画作りが求められます。
| 申請枠 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 上限800万〜1,000万円 | 1/3〜2/3 | 親族内承継・従業員承継など、既存の事業を引き継いだ後の設備投資や新たな取り組みを支援する枠です。 |
| 専門家活用枠 | 上限600万〜800万円(要件を満たす場合は最大2,000万円) | 1/3〜2/3 | 第三者へのM&A(譲渡・譲受)に伴う専門家への費用を支援する枠です。買い手側・売り手側それぞれの類型があります。 |
| PMI推進枠 | 公募要領で確認 | 1/3〜2/3 | M&Aの成立後に行う経営統合(PMI)の取り組みを支援する枠です。補助上限は公募回ごとに公募要領で確認してください。 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 原則300万円 | 1/3〜2/3 | 事業の廃業に伴う費用や、廃業後の再チャレンジを支援する枠です。他の枠と併用する類型もあります。 |
旅館・ホテルで使える対象経費と申請枠
旅館・ホテルの事業承継・M&Aで実際に相談の多い対象経費と、その使い方です。区分名は公募要領の表記に合わせています。金額は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認してください。
事業承継促進枠:旅館・ホテルでの使い方
女将・番頭として長年勤務してきた従業員が経営を引き継ぐ
審査で効く理由
旅館の接客ノウハウや常連客との関係を維持したまま経営権を移せます
承継前の設備投資:旅館・ホテルでの使い方
客室や浴場の老朽設備を更新し、承継後の稼働率・単価向上につなげる
審査で効く理由
付加価値額の伸び率を高める具体的な取り組みとして事業計画の説得力が増します
専門家活用枠(買い手支援):旅館・ホテルでの使い方
廃業を検討する近隣の旅館・ホテルを譲り受け、客室数や立地を活かして事業を拡大する
審査で効く理由
買い手支援類型のDD費用上乗せで、建物の老朽度や許認可状況を事前に確認できます
店舗・事業所の改装:旅館・ホテルでの使い方
譲り受けた施設のロビーや客室を改装し、ブランドを統一する
審査で効く理由
承継後の顧客満足度・稼働率の維持を事業計画で裏付けられます
廃業費(原状回復・在庫処分):旅館・ホテルでの使い方
統合に伴い不要となる別館の原状回復や在庫食材の処分を行う
審査で効く理由
廃業・再チャレンジ枠は主枠への上乗せとして原状回復費等を計上できます
旅館・ホテルの事業計画で書くべき観点
旅館・ホテルで審査を通す事業計画には、次の観点を数字と根拠つきで書き込んでください。
- 女将・支配人など現場の接客ノウハウを承継後どう維持するか
- 客室・浴場等の設備投資でどのように稼働率や客単価を高めるか
- 承継予定者が対象施設での勤務経験・役員経験をどう積んできたか
- 地域の宿泊需要(観光・インバウンド等)に対し承継後の営業戦略がどう変わるか
- 旅館業許可など業法上の手続きをどのタイミングで進めるか(専門家確認前提)