農業法人の事業承継・M&A補助金 2026年ガイド
この記事の結論
農業法人の事業承継・M&Aでは、承継の相手と費用の時期で使う枠が変わります。補助率は1/3〜2/3、電子申請はJグランツのみ、16次公募の申請締切は2026年11月6日です。対象経費の区分は公募要領の表記どおりに整理してから申請してください。
農業法人は経営者の高齢化と後継者不在が全国的な課題となっている分野で、農地の利用権・所有権の整理や、JA・卸先との取引関係の維持が承継の実務上の焦点になります。法人の役員・従業員として実務経験を積んだ後継者が経営を引き継ぐ場合は事業承継促進枠、後継者不在で廃業を検討する近隣法人の農地利用権や設備を譲り受ける場合は専門家活用枠が選択肢になります。老朽化した農業機械やハウス設備の更新は、生産性向上要件の達成に向けた投資として事業計画に位置づけられます。ただし、譲り受ける農地・施設そのものの購入費用は補助対象外であり、農地法に基づく権利移転手続きは農業委員会や専門家への確認が別途必要です。また、専門家活用枠を利用する場合はFA・仲介業務に係る委託費の対象が登録M&A支援機関に限られるため、取引先の選定段階から登録状況を確認しておくことが実務上のポイントです。
| 申請枠 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 上限800万〜1,000万円 | 1/3〜2/3 | 親族内承継・従業員承継など、既存の事業を引き継いだ後の設備投資や新たな取り組みを支援する枠です。 |
| 専門家活用枠 | 上限600万〜800万円(要件を満たす場合は最大2,000万円) | 1/3〜2/3 | 第三者へのM&A(譲渡・譲受)に伴う専門家への費用を支援する枠です。買い手側・売り手側それぞれの類型があります。 |
| PMI推進枠 | 公募要領で確認 | 1/3〜2/3 | M&Aの成立後に行う経営統合(PMI)の取り組みを支援する枠です。補助上限は公募回ごとに公募要領で確認してください。 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 原則300万円 | 1/3〜2/3 | 事業の廃業に伴う費用や、廃業後の再チャレンジを支援する枠です。他の枠と併用する類型もあります。 |
農業法人で使える対象経費と申請枠
農業法人の事業承継・M&Aで実際に相談の多い対象経費と、その使い方です。区分名は公募要領の表記に合わせています。金額は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認してください。
事業承継促進枠:農業法人での使い方
農業法人の役員として3年以上従事してきた家族外の従業員が代表を引き継ぐ
審査で効く理由
経営権・所有権の両方を移転する要件に沿った計画として整理しやすくなります
承継前の設備投資:農業法人での使い方
老朽化した農業機械やハウス設備を更新し、承継後の生産性を高める
審査で効く理由
付加価値額の伸び率3%/年の達成に向けた具体的な取り組みとして示せます
専門家活用枠(買い手支援):農業法人での使い方
後継者不在で廃業を検討する近隣の農業法人の農地利用権や設備を譲り受ける
審査で効く理由
買い手支援類型のDD費用で、農地の権利関係や契約状況を事前に確認できます
デューデリジェンス費用:農業法人での使い方
譲り受け予定の農業法人が保有する取引先(JA・卸先等)との契約状況を専門家に確認する
審査で効く理由
出荷契約の継続可否は承継後の収益性に直結するため重点確認事項になります
廃業費(原状回復・在庫処分):農業法人での使い方
統合に伴い不要となる倉庫の原状回復や在庫農産物の処分を行う
審査で効く理由
主枠と併用申請することで廃業に伴う費用を上乗せで計上できます
農業法人の事業計画で書くべき観点
農業法人で審査を通す事業計画には、次の観点を数字と根拠つきで書き込んでください。
- 農地の利用権・所有権の承継をどのように整理するか(専門家確認前提)
- 農業機械・施設への投資でどのように生産性・付加価値額を高めるか
- 承継予定者が対象法人での役員・従業員経験をどう積んできたか
- JA・卸先等との取引関係を承継後どう維持するか
- 農業法人としての要件(農地所有適格法人等)を承継後も満たし続けられるか